「宇宙を駆けるよだか」作者・川端志季
「宇宙を駆けるよだか」の概要
「宇宙を駆けるよだか」は高校生4人が、赤い月の日にだけできる「体の入れ替わり」によって起こるトラブルに巻き込まれるお話です。
タイトルは宮沢賢治の「よだかの星」から来ており、醜いからと忌み嫌われたよだかと、デブでブスであることで嫌われて孤立している然子が重なります。
美人のあゆみとブスの然子が入れ替わったことによって、「醜さ」に対する周囲の冷たさや蔑みを初めて知るあゆみ。
美人で苦労知らずなあゆみに好きな人をとられ、自分の苦しみを味わわせたいと思っていた然子。
そんなふたりが行き着いた結末は・・・どんな状況でも理解して信じてくれる人がいてくれれば、解決できそうもない困難も乗り越えられる、という勇気をくれる作品です。
第2巻のあらすじとネタバレ
しろちゃんの本心
あゆみと然子の入れ替わりに気づいても知らんぷりしていたはずの、しろちゃん。
そのしろちゃんがあゆみから「入れ替わりの方法」について聞き出そうとします。
それを聞いたしろちゃんは、うまく然子を丸め込み「ある方法」を試そうと決心します。
火賀くんの愛
あゆみは火賀くんに告白されましたが、彼は自分の気持ちを押し付けるつもりはなく、何があっても応援するから、と約束します。
ところが学校で火賀が(ドブスの)海根が好きという噂が広まり、「ブス専」だの「ネタでしょ」「イケメンのくせにどーゆー趣味?」とひどい言葉を投げつけられます。
あゆみが好きな気持ちは、見た目じゃなくてあゆみがあゆみだから。それが火賀くんの愛。
ブスはブスでなければならない
ブスだったときにも優しくしてくれたしろちゃんが、どうしてもほしい。しろちゃんしかいらない。
小日向あゆみのような綺麗な顔とスラリとした体があれば、自分は愛されるはず・・・
これが然子のアイデンティティのすべてでした。
見た目がいいことで得し続けてきたあゆみが、ブスな然子の体に入って少しは自分の苦しみを味わえばいいのに、と思っていたのに計算違いだったのです。
迷子のインコの秘密とは
あゆみのところに舞い降りた、迷子のインコがいきなり人間語を話し始めます。
じつはそのインコは偶然によって入れ替わってしまった男性・天ヶ瀬 建造でした。
天ヶ瀬は人生に絶望して命を絶とうとしたところ、たまたまその日が赤月の日で、飼っていたインコと目があってしまったのです。
インコはしろちゃんと然子が、赤月の日に何か悪巧みを実行しようとしていると話します。
しろちゃんを親友の火賀くん、あゆみはしろちゃんに「信じている」と言いますが・・・
そしてインコは、宇金真緒が「入れ替わりの方法」を信じる人々に対してカルト宗教のようなことを始め、『別の誰かとして生きられる』と信者を集め始めるのを苦々しく見ていました。