尾崎衣良先生の新作ゲットーーー! 期待を裏切らない、オトナ女子のピリッとくる恋愛物語たち。
漫画「てのひらに秘密をひとつ」は、女性の「秘密と不倫」をテーマにしたオムニバス形式の短編集です。
人に嫌われたくない、と思うあまりにみんなからの頼まれごとをすべて引き受けてしまうOL。彼女が抱えていた「人生の汚点」とは?
こちらでは収録作それぞれのあらすじと感想をご案内します。
てのひらに秘密をひとつのあらすじ
第一話「恋に落ちるその日まで」
いつもみんなの頼み事を聞いてしまうOL・沙季は「いい人」を通り越して「都合のいい人」扱い。
社内の友人・マミは、沙季の人の良さを当てにして「不倫旅行の口裏合わせをして」とお願いしてきた。
さすがにそれは、と断った沙季を逆恨みして社内に悪口をふりまき、飲み会の席で「沙季が秘密にしてきた過去」「人生の汚点」を暴いてしまう。
そんなとき、いつもバッサリ人を斬る口の悪い高尾野がかばってくれて・・・
感想:高尾野の反応が、フツーの恋愛漫画の反応じゃない!?
ここは慰めるポイント、というところで「残念でしたぁ〜」とひっくり返す意地の悪さ。
沙季は本当に、この男でいいのでしょうか・・・。
あと、マミのクソ○ッチぷりには本当に腹が立ちました。
第二話「あなたが浮気をしない理由」
西方一絵の旦那・聡は結婚して以来、草食系を通り越して、絶食系。あまりのレスっぷりに自分に女としての魅力がゼロなのか、と悩む。
もともと一絵はお堅い性格で、仕事にも生真面目。そんな真面目さをいいと言ってくれて結婚した夫を愛しているのに・・・まったく子供ができない。
じつは一絵には夫に話していない、「ある意地悪な秘密」があった。
感想:女として愛してくれない夫への復讐・・・。無言の抵抗です。
一絵がものすごくお腹痛がっているのに、あっさりと会社に向かう夫がサイアクでした。
ああ、愛情ないんだなってわかるシーン。(尾崎先生って、本当、こういうのがうまいと思う)
同僚の男性のおかげで、自分を卑下しなくていいんだ、と気づいた一絵が素敵でしたね。
第三話「アンバランス」
帖佐マミは、「お人好し」の沙季に既婚者の彼氏との旅行の口裏合わせを断られて根に持っていた。
もともと、沙季に対してイラツイていた。理由は気になる同僚・加治木が「清純」だと褒めていたからだ。
偶然、沙季が過去に不倫したことを知ったマミは「ムカつく」と飲み会で秘密をバラすが・・・
感想:うわー、ホントに嫌な女。自分が腹を割って相談したのに断りやがって!と逆恨みして、沙季に恥をかかせようと暴露。
自分だって既婚者とつきあっていたくせに。一番、関わりたくないタイプ。
でも、夜道でチカンに襲われて逆ギレして返り討ちにしたくだりは、結構おもしろかったです。
感想まとめ
尾崎衣良先生の描く恋愛ストーリーは間違いなくおもしろい!ので、いつもは試し読みしてから買うかどうか決めてるんですが、即ダウンロードしました。
OLの恋愛なんてありきたりな恋愛物語になりがちなのに、リアルな実感でグイグイくる感じで飽きさせないんですよね〜。
とくに一話目の高尾野って、それこそキッツイ言い方ばかりの残念男子なんですが、安易にヒロインを甘やかしてくれる相手じゃないところが新鮮。
たいていの恋愛モノは落ち込んだヒロインを抱きしめて
『俺の前でだけは、泣いてもいいんダゼ?』的に慰めるのが王道だよな、で、そこで恋に落ちちゃうよな、
という手でくるんですが、高尾野の場合はことごとくヒロインをどん底へ叩き落とす(笑)
たまにいいこと、言うんですけどね・・・自分だったら、ショージキちょっとご遠慮したい相手。(キツイこと言われるとへこんじゃうし!)
ヒール役として登場したマミが、まさか三話目で出てくるとは思いませんでした。
マミはマミなりに抱えるものがあるんでしょうが、一話目の印象が悪すぎてやっぱ好きになれないかな。
マミも沙季と同じように既婚者の男にだまされてた、っていう背景もあるのでフラストレーションがたまってたんですかね。
一番ステキだと思ったヒロインは、一絵です。大人の落ち着いた女性、って雰囲気で「誠実」が長所っていいですよね。
あのレス旦那と別れてよかったです。世間体だけで結婚した男のひとって、結構いるのかも。
つぎはちゃんと愛し合えるひとと出会えたら(すでに出会っている?)いいなあって思います。
好きな作家さんの新作って、いいもんですね〜。
尾崎衣良先生の大ヒット作!