心の中にモヤモヤがあるひとだけが行ける、不思議なスーパーマーケットと謎の商品。
嶽まいこ先生の漫画「世にも奇妙なスーパーマーケット」は、読んだあと不思議な気分になれるオムニバス形式の漫画です。
訪れる客たちは色々。ヒモニートのダメンズ好きな貢ぐちゃんOLだったり、美人しか目に入らないというタカビー男であったり。
こちらでは第一話のあらすじと感想をご案内します。
「世にも奇妙なスーパーマーケット」のあらすじ
OL・カナコの彼氏は、いつも食事をおごらせる働かないダメニートで、プレゼントにお返しすらないケチなたかり屋。
彼がダメなやつ、とわかっていても、女友達たちに「絶対別れたほうがいい!」とダメ出しされると腹が立つ。
不満はあっても、頼りにされるとなんだかんだで嬉しくなってしまうダメンズ好き体質だからだ。
ある日の会社帰り、「世にも奇妙なスーパーマーケット」という看板のある店に迷い込んでしまった。
「コバヤシ」と名乗る無愛想な店主は、ここが「心のモヤモヤを抱える人間だけが訪れる場所」と電波な発言をし、食べると涙が出てくるソルトキャンディをくれて・・・
「世にも奇妙なスーパーマーケット」の感想
不思議な空気感が漂う物語。
もらった不思議なアイテムでヒモニートの彼氏を改心させるか、ぎゃふん、と言わせるオチなのかな〜と思いきや、「えっ、これで終わるの!?」という肩透かし。
起承転結の、結、がすっぽり抜けていて放り出されたような気持ちになったものの、作品を流れるほわーっとした空気のせいか「これはこれで」と思えてしまいました。
第一話だけじゃなく、ほかの話もそんな雰囲気なので、オチを期待しすぎるタイプだと「???」になってしまうかも。
1話ずつ完結している話なので、サラッと漫画を読みたい気分のときに読むのがよろしいかと。
あるいは、読んだあと、こちらのほうが「モヤッと」させられます(笑)
ダメンズ好きのOLカナコは、彼氏のメッシー&ATMにさせられているうえ、じつに都合のいい女扱い。
「飯食ったらバイナラしてダチのところへ」と、浮気?してるっぽいようにも見えて「なんでこんな男が好きなの」と、友達じゃなくてもツッコミたくなります。
しかも救いがないのが、カナコ本人が「彼氏はどうしようもないダメで愛情もない男で、自分を都合のいい女としか扱っていない」と認識しつつも、それを受け入れてしまっている点。
最後の最後で「別れてやる!」とカナコが爆発するのを期待していましたが、結局は永遠にATMとしてたかられる生活を喜んで枯れ果てるまで彼に尽くしていくんだろうな・・・と感じました。
2話目の美人オンリーな上から目線男の話も(店主から『みんなが美男美女に見えるメガネ』をもらう)、謎のアイテムで「ひとって見た目じゃない!内面の美しさだ!!」教訓的な流れにはならず、ハッピーエンドでもなく、さほどのバッドエンドでもなく、というグレーな展開。
ちょっぴり不思議な日常系の話なので、怖くもワクワクもせずに落ち着く物語たちでした。