「優しい毒薬」は、尾崎衣良作の短編集「外面が良いにも程がある。」に含まれている作品です。
重度の卵アレルギーの彼女に、わざと卵を食べさせるひどい彼氏。
ヒロインのことが好きな職場の男性が、彼女のために激怒して・・・
優しい毒薬のあらすじ
カフェで働いている杏奈は、職場の調理担当である荒尾から彼氏・雅由の浮気証拠写真を見せられる。
彼氏の浮気、発覚。しかもこれが二回目。
普通なら修羅場になりそうなものだが、杏奈はつい強気にでれない。
杏奈の姉が「浮気なんて男の本能だし、責めたって相手が離れるだけだから逆効果」とアドバイスされたこともあって、彼の心変わりが怖い。
なお、杏奈の目に映る世界では、「どーでもいい人間」はブサイクな落書きに。好きな男は超イケメンに見えている。
本当は浮気されるなんて、嫌だ。そう思っていた矢先、重度の卵アレルギーである杏奈に雅由はわざと、卵入りハンバーグを食べさせる事故が起こった。
雅由は卵アレルギーなんて好き嫌いレベルでしょ、とケロリと告げる。
罪の意識すらない雅由。雅由がケラケラ笑うそばで、杏奈は青ざめていった。
杏奈にとって、卵を食べることは命にかかわる大事だったのだ。
病院にかつぎこまれ、入院する杏奈。
そこに荒尾がやってきて、「自分の彼女になにしてんだよ!」と雅由に詰め寄り・・・
優しい毒薬の登場人物
杏奈(あんな):カフェで働いている。重度の卵アレルギー。
雅由(まさよし):杏奈の彼氏。一度浮気した過去がある。
荒尾(あらお):職場の調理担当。口が悪いドS。
優しい毒薬の感想
重度の卵アレルギーの人に、ニヤニヤしながら卵食べさせるなんて、ひどい彼氏です。
「アレルギーは甘え」なんて、ね。
この彼氏は根っこから悪人ではないのでしょうが、とにかく自分に甘い男で、「彼女なら、何をしても許してくれるから」と、母親に甘えるかのようにとことん相手に甘えるタイプなんですね。
杏奈にとっては不幸な出来事でしたが、これがきっかけでひどい彼氏と別れて、本当に自分を大切にしてくれる男性と巡り合ってよかったですね。
杏奈の特殊な目(笑)尾崎衣良先生の絵の表現力が、すごくおもしろいです。
彼氏がどうでもいい人間だと思った途端に、不細工に(笑)
ラストでは、急に荒尾くんがイケメンに見えてきて・・・♡
たしかに、好きになった人ってかっこよく見えるものです。
なお、「優しい毒薬」は、「外面が良いにも程がある。」に入っている4番めの作品です。