急逝した中野純子先生が遺した最後の短編集「Say,good-bye」こちらでは、短編ラストになる表題作のあらすじと感想をご案内します。
姉と弟の、歪んだ愛情ーー美人で婚約者もいた姉が、事故で足を失ったことをきっかけにすべてを失い、弟と禁忌の関係に・・・けれど時が過ぎて「幸せ」を考え始めたときに、ふたりの別れが訪れます。
Say,good-byeのあらすじ
結婚する、という姉
交通事故で足を失った姉を支えるうちに、愛し合うようになった姉弟。
けれど、禁忌の関係はかならず終わりを迎えるもので、つらくても未来を見据えて前向きな選択をする姉の強さ、そして弟の姉を想う深い愛が伝わってきます。
弟から離れていく姉
森本悟は姉・真から二人の関係をやめようと言い出す。そして、結婚する、と。
ふたりのことは誰も知らない。
始まったのは、姉が交通事故で恋人に捨てられ、両足も失くしたころからだった。
肉親の愛情と献身から弟に支えられて生きてきた真は、悟が自分を支え愛してくれたことで、ようやく「普通の幸せ」を夢見るほどに、強くなれたのだという。
たとえ、ふたりがもう「姉と弟」には戻れないとしても。
事故で不自由な体になり、車椅子生活になった真は不幸だったが、悟の心の中には独占欲から喜ぶ自分がいた。
二度と動くことがない姉の足。だが、姉にプロポーズした職場の同僚・水原は車椅子の花嫁でもいい、という。
「Say,good-bye」の感想
表題作となる「Say,good-bye」は、愛してはならない人を愛してしまった男女の切ない別れのお話でした。
兄妹、姉と弟、とい禁断のシチュエーション萌えが好きなかたにとっては、たまらない内容です。
「好き」「愛している」と言うのは簡単だけど、それを人生で貫いていくのは難しい。
たとえ好きでも、社会的に認められない関係だったり、一緒にいると傷つけあってしまう状況であれば、「幸せ」を見つけるために別れるしかなく、それが「さよなら」に込められています。
病で急逝された中野純子先生の最後の短編漫画集ということもあり、より切なく感じてしまいました。
通り一遍じゃない、綺麗ごとだけでもない、生々しい恋愛。
自分の気持ちに素直になって、お互いの幸せを願いながら前向きに生きていくこと。
そんな作者の思いが伝わってくる珠玉の短編でした。