中野純子先生の最後の短編漫画集「Say,good-bye」収録・第4作めの「有千花」。
親の仕事の都合で転校ばかりの双子の兄妹が出会った、妖しいまでの美しさを持つひとりの少女・有千花。
ミステリアスな有千花の魅力に、男女関係なく惹きつけられ、美しいがゆえに疎外されてきた有千花に憧れてしまった藤木亮一の妹・亮子は・・・
作品名:「Say,good-bye」
作者:中野純子
Say,good-bye「有千花」のあらすじ
転校してきた双子の兄妹
立っているだけで目立つ、大人っぽい綺麗な女の子。
学生時代に、そんな大人びた美少女がクラスにひとりはいなかったでしょうか。
美しすぎるがゆえに、普通の田舎の女子高生でいられなかった有千花。
青少年のあやうさと、妖しい魅力にあふれる短編です。
両親の度重なる引っ越しにうんざりしていた藤木亮一の妹・亮子は、双子の兄妹だった。
このたびやってきたのは、閉鎖的な小さな田舎町。
亮子は兄とクラスが別になってしまったものの、同じクラスのひとりの少女に目が吸い寄せられてしまう。
誰よりも美しい、真っ白い肌に長いまつげ、つややかな黒髪の少女は、森有千花といった。
有千花の祖母はフランス出身で、その血を受け継いだ有千花は綺麗な碧眼。
亮子は積極的に有千花に話しかけ、やがてそんな亮子に有千花も心を許すようになる。
一方、妹が有千花に熱をあげる様子を見ていた亮一は、男子から有千花に関する良からぬ噂をさんざん聞かされていた。
「有千花」の感想
転校先のクラスにいた美少女・有千花に夢中になってしまう亮子。
そして成り行きで有千花を助けるために、不良に大怪我をさせてしまった亮一。
亮一は遠くから有千花を見守っていましたが、異性をとりこにするようなミステリアスな美しさに、亮一もまた無意識のうちに有千花に惹かれていました。
この小さな閉鎖的な町が大嫌いで、お金を貯めてどこかよそへ逃げ出したい、と思っていた有千花。
事件をきっかけに、煙のように消えてしまいますが
再会してしまったら、有千花に惹かれる心を止められなくなるかもしれない
と思う亮一の心・・・有千花は有千花で、友情を感じていた亮子のために亮一をかばいました。
二度と会えなくても、一生忘れられないような鮮烈な印象を残して消えた有千花・・・魔性の女の魅力で、不思議な味わいがあるお話でした。