恋愛漫画

ルポルタージュ‐追悼記事‐ 1巻のネタバレ感想 売野機子

2018年10月24日

―恋愛なんて、時代遅れでダサイ。「飛ばし婚」こそが合理的だと主流になっている社会。

売野機子先生の漫画「ルポルタージュ‐追悼記事‐」は「非・恋愛」が日常化した2034年の日本で、「恋」を信じている女記者・青枝聖がある事件の犠牲者たちを追って「追悼記事」を書きながら、自らの傷と恋愛に向き合っていくお話です。

 

※本作は『ルポルタージュ』が移籍によりリメイクされた作品です。

 

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「ルポルタージュ‐追悼記事‐」のあらすじ・ネタバレ

 

日本では「恋愛を押し付けるのはおかしい」という新たなムーブメントのもとで「恋愛はいらない。でも子供やパートナーはほしい」という人間が増えて合理的なマッチングシステムにより「飛ばし婚」が普通になっていた。

 

2034年には、「恋愛をしている」人間のほうが「マイノリティ」として軽蔑される空気ができあがっていた。

 

中央新聞の社会部記者・青枝聖は後輩の絵野沢 理茗とともに、2033年12月に起こった、シェアハウス「非・恋愛コミューン」のテロ事件の犠牲者に対する追悼記事を書き、遺族を訪れてインタビューを重ねる。

 

30名もの犠牲者を出したその事件は注目されており、犠牲者は「恋愛は非合理的」だとする時代を象徴する若者たちであった。

 

犠牲者のひとり・五十鈴 秋の記事を書くため、遺族や過去の同級生たちを訪ねる聖。

みんな口を揃えて「嘘つき」「嫌われていた」と、高慢でいけ好かない男だった、という。

 

そして、テロ事件の犯人である佐藤 雄大について、NPO法人で支援していた國村葉からの証言をもとに意外な犯行動機が見えてきて・・・

 

「ルポルタージュ‐追悼記事‐」の登場人物

 

青枝聖:主人公。中央新聞の社会部記者でテロ事件の犠牲者たちの追悼記事を書く。恋を信じており、國村と密かな「恋愛」をしている。過去に記事でバッシングされたことで心に傷を負う。

絵野沢 理茗:中央新聞の聖の後輩。聖のことを慕っている。

佐藤 雄大:身寄りのない貧困層出身。テロ事件の犯人で現行犯逮捕された。改宗して過激派に傾倒した末の犯行と見られたが、動機はべつにあった。

國村葉: 貧困の若者支援NPO法人を運営している青年。事件前から佐藤を支援しており、唯一、刑務所で接見を許された。

五十鈴 秋:26歳。テロ事件の犠牲者。シェアハウス「非・恋愛コミューン」で周囲を見下した態度で嫌われていた。義理の父のリハビリに付き合っていたことが判明。

五十鈴 正春: 五十鈴 秋の兄。インタビューを嫌っている。

五十鈴 夏綺:五十鈴 秋の妹で高校生。聖に兄弟関係について打ち明けた。兄ふたりとは父親違い。

宮原:テロ事件の犠牲者。生徒たちから「人格者」だと熱狂的に慕われる教師だった。三品仁菜子をかばって亡くなる。

三品仁菜子:30歳。テロ事件で唯一、生き残った女性。聖の書いた宮原の追悼記事を読み、首吊りを図る。

 

感想まとめ

 

犯人の佐藤の犯行動機って、かいつまんで言うと、

『恋愛ダサいと言いつつ、シャレオツな恋愛モドキを楽しむリア充どもは爆発しろ!』

で、本当に爆発させてしまったのではないかと(笑)

 

「恋愛」が消滅しかかっている社会、という非モテにとってはとても生きやすい世界?なわけですが。

 

今現在、結婚もせず恋人もいない独身たちが受けている差別的空気感(陰キャ、30過ぎて結婚しないなんて人間的にどこかおかしい、カレカノいない歴=年齢なんてありえな〜い、など)を、ちょうど真逆にひっくり返したかのような世界観です。

 

前時代的な「恋愛」をまだしているなんて、頭わる〜い、バカみたい!

と、言われてしまう社会。

 

「飛ばし婚」っていうシステムは合理的ですが、お見合いをさらにシステマチックにした感じですかね。実際、需要はありそうです。

 

そんな社会の空気に押しつぶされそうになりながらも、ひそかに「恋」する気持ちをあたためていたヒロイン・青枝聖は無表情な顔の下で國村葉と恋愛し、「仕事」を通して自分のしていることの正しさを見出そうとしていきます。

 

過去に自分が書いた記事のせいでバッシングを受けた聖にとって、恋人の葉は癒やしであり、そのせいで仕事に対しても若干の気の緩みが生まれて・・・

三品仁菜子の事件につながってしまいます。

 

社会派の記者の記事、というのは結構重たいものですよね。書いた文章のせいで人の人生を左右してしまったり、深く傷つけてしまうこともありますから。

せっかく聖が「上向き」になってきたところに、ズドーンと落とされるような展開で、葉との「恋愛」が彼女の心を救ってくれるのかどうかは不明。

 

「追悼記事」を通して、聖は無意識のうちに自分自身を癒やしてくれるものを探し出そうとしていて、丁寧な取材を続けるうちに「佐藤」の素顔が浮き上がってきたり、葉に運命のようなものを感じてのめりこんでいく聖の無表情が少しずつ緩んでいきます。

 

そして、そんな聖の「一番の理解者」ポジションにいる絵野沢のどこか切ない気持ちだったり。

 

この漫画を読んでいると『恋愛とはなんなのか。恋は人に必要なのか』という疑問がわきあがってきます。

 

連載誌の打ち切りで未完となりそうだった『ルポルタージュ』がモーニング・ツーに移籍されたことで、リメイクされて1巻から再スタートです。

未完のまま終わるなんてもったいないお話なので、「恋愛が消滅した近未来」を描ききってほしいですね!

 

 

 

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