声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~

声なきものの唄ネタバレ結末 第12話 からゆきの女

遊郭と言えば、男が来る場所。けれど、今回東陽楼にやってきた客はきっぷの良い女客でした。

矢津遊郭一番の東陽楼を気に入りますが、「東陽楼を買いたい」と買収を持ちかけてきて一騒動が起きます。

そして、彼女の「からゆきさん」の過去をチヌが聞くことに・・・。貧しさで騙され、外国へ売り飛ばされた女の浮き沈み激しい人生が浮き彫りになるお話です。

 

作品名:声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~

作者:安武わたる

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「声なきものの唄」第十二話 あらすじとネタバレ

珍しい女のお客さん

 

正月が過ぎて、一風変わった女性の客がやってきた。

吉元タカ、という羽振りのいい金持ちで、妓を集めて舞わせて「芸達者だ」と褒めて祝儀をたっぷりはずむ。

 

ドジなチヌは、舞の途中でつまづいて、タカの胸に飛び込んでしまった。

「気に入ったわ、おもろい妓やないの」

チヌの毒気がない話し方が気に入ったタカは笑って許し、さらにとんでもないことを言い出す。

「この東陽楼、うちが買わせてもらうわ」

 

東陽楼の買収騒ぎ

 

タカは楼主の藤富に大金を見せて、東陽楼を売ってほしいと交渉した。

「うち、ぜひとも女郎屋の主になりてえんや」

 

だが、金さえ積めばなんでも買える、というわけではない。

楼主はタカの申し出を断り、「塩まけ!」と追い出した。

巴太夫はタカのなまりを聞いて、「からゆきさん」かもしれない、とつぶやく。

 

タカの嫌がらせがスタート

 

断ってからすぐ、東陽楼にガラの悪い客がやってきて暴れるようになった。

見世の雰囲気を損なう客層に、楼主は頭を痛める。

タイミングからいって、どう見てもタカの嫌がらせとしか考えられない。

 

東陽楼の評判を落として、無理にでも売る気にさせようとしているのだ。

だが、「噂」という形のないものと戦うことは難しく、タカがやらせているという証拠もない。

 

タカに話しかけるチヌ

 

東陽楼が困っている様子を見物に来たタカ。

楼主はタカのせいにするが、「ホホ、濡れ衣着せる気でっか」としたたかに彼女は笑う。

 

騒ぎを収めるために楼主は松井組の親分に相談するつもりであったが、タカはその親分とも仲がいいという。

打つ手なし、といった状況だったが、チヌはタカを追いかけて話しかけた。

 

「吉元さんって、からゆきさんやったんですか!?」

見世の騒ぎと関係ない質問をするチヌに、軽く驚くタカ。

チヌは自分の姉がひょっとしたら外国へ売られたかもしれないから、からゆきさんのことを知りたいと話すと、タカの態度は少しやわらいだ。

 

からゆきさんの昔話

 

15年前、タカにはヤエという妹がいた。

小作農で両親はすでになく、兄弟4人で畑を耕して食うや食わずの貧しい生活をしていた。

 

地主に借金もあり、病気の妹を医者に見せるどころか栄養あるものすら与えてやれない。

体の弱いヤエは病の床で昔食べた、甘いあんころモチが食べたい、と言う。

金を借りられないかと地主のところへ訪ねたが、けんもほろろに追い出される。

 

外国で女中の奉公へ出る

 

店先でヤエが食べたがっていたお菓子を見て「いつになったら、うちは妹にあげられるんやろ」と、金がない苦しさに憤っていた。

そんなタカに「あんた稼ぎとうないか」と声をかけてきた女がいた。

西洋旅館で女中奉公に外地へ行けば、たっぷりと金を稼げる、と。

 

これで妹に好きなだけ甘いものを買ってやり、兄弟たちにも腹一杯に食べさせてやれる。

妹たちと別れるのは辛かったが、働いて金を稼げるという希望は何よりも大きかった。

 

騙され、からゆきさんになるタカ

 

「もう貧乏はいやじゃ!」

船に乗ると、自分のような若い娘たちがたくさんおり、普段食べられないような白いご飯も食べられた。

働いて家族に人並みの暮らしをさせてやりたい、と一ヶ月の密航の末、シンガポールに到着する。

 

だが、シャワーを浴びて外へ出ると、恐ろしい顔をした女衒たちがいきなり娘たちの売り買いを始めた。

「女郎やなんて聞いとらんわっ」

タカは騙されたことに気づき反抗したが、日本から遠く離れた外国では逃げ場所すらない。

 

手足を縛られ、入港した船の船員たちがわんさかと降りてきて、タカは無理やり仕事をさせられてしまう。

もう日本へは戻れん、と絶望して家族の顔を思い浮かべながら、タカは耐えきれずにロープを持ち出すが・・・

 

「声なきものの唄」第十二話の感想

 

外国へ騙され、女郎として売られていった「からゆきさん」。タカはそうした女のひとりでしたが、今ではかなりの金持ちになっている様子。

タカがなぜ東陽楼をそんなにまでして欲しいのかまだわかりませんが、彼女の過去に理由がありそうです。

 

歴史を調べると、一時期バテレン追放令と南蛮貿易の禁止令が出たことがありますが、宣教師や商人が奴隷として日本人を外国へ売買するのに関わっていたりとかなりの闇を感じます。

明治時代になっても、貧困の中で外国へ出稼ぎに行った娘たちの中には家族のために自ら納得して行くものもいれば、タカのように騙されるように連れて行かれた人もいたのでしょう。

 

チヌは姉のサヨリが外地へ売られていったのではないかと心配しており、今回タカにからゆきさんの話をせがんだわけですが、想像を絶するひどい内容でした。

家族のために、と外地へやってきたタカは、このあと一体どうなってしまうのか。

現在は肝っ玉の太い金持ち女になっていますが、タカはどんな地獄をくぐり抜けて日本へ戻ったのか、つづきがとても気になります。

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