尾崎衣良作 漫画「キスのあとさき」は短編マンガ集の「君は唇から毒を盛る」収録作。
28歳のOL・芽依が、恋も仕事もうまくいきそうな矢先、自分のあまりの男性経験のなさにコンプレックスを感じてワタワタする展開です。
「可愛くない女」だとわかっていても、なかなか自分を変えられない芽依のことを見ていてくれたのは・・・
「キスのあとさき」のあらすじ
芽依は仕事も認められて、最近彼氏もできてウキウキしていた。
3ヶ月前からつきあっている同じ会社の幡生は、一緒にいると胸がぎゅーっとなるほど好き。
彼から告白されて交際したものの、学生時代はずっと親に「男女交際なんてもってのほか!」と勉強ばかりさせられてきたので、恋愛経験値ゼロ。
大人になれば、普通に恋愛も上手になる、なんてことはなくて今さらどうしていいのかわからない。
会社ではデキる女、とバリキャリ扱いされていても、こと恋愛となると彼に化けの皮が剥がれないようにごまかすだけで精一杯だった。
そんな折、芽依と違って早熟で彼氏をつくって好き放題に生きている妹が遊びに来る。
「キスのあとさき」の見どころ
幡生のことが好きなのに、うまく「大人」な態度がとれない芽依。
芽依は彼のことが以前から「かっこいい」と気になっていて、仕事でもさりげなくかばってくれていることに気づいていた。
彼を上手に受け入れたい、と思う芽依だったが「恋愛経験なし」な自分に気づかれるのが怖いあまり、彼を突き飛ばしてしまった。
「悪いけど、帰るわ」
と、去っていく幡生。
幡生を最悪な形で傷つけて落ち込む芽依に、さらに妹のお腹に子供ができた、と家族の問題に巻き込まれる。
「キスのあとさき」の結末
芽依に対しては厳しい両親が、妹にだけは甘々で「どうして自分だけ、(恋愛で)ダメになってしまったの!?」とキレてしまう。
「こういうときだけ子供に戻るな!」
とあまりの都合の良さに父と妹に怒鳴る芽依。
自分の中にあるコンプレックスに向き合いながら自己嫌悪に陥るも、会社で幡生だけが芽依のことをしっかり見つめていたことがわかる事件が起こる。
芽依は幡生に、自分が男女交際するのは初めてだと打ち明け、幡生もそれはあらかじめ了解していたことを知る。
「キスのあとさき」の感想
仕事がデキる近寄りがたいバリキャリが、じつは奥手で恋愛ベタだったという流れで、そんな彼女をかわいいと思ってくれるイケメン男性のおかげでハッピーエンド(笑)
男女交際に厳しく育てた父のせいで、恋愛をすること自体が何か悪いことをしているかのように無意識にしつけられてしまったヒロイン。
過保護な親、というのもある意味毒になりますよね。
芽依の妹の亜依は高校生だけど姉と違ってませていて、彼氏をつくってあっという間に子供までできたのに、厳しかった父親が叱るどころかしれっと「めでたいこと。しばらくは我々が援助する」とニコニコ顔をしていれば、姉妹の扱いの差に腹が立つのもわかります。
「デキる女は可愛くない」と言われつづけて、やっと「それって努力の結果でしょう」と認めてくれた幡生のイケメンっぷりにポーッとなるお話でした。
※本作は「君は唇から毒を盛る」収録作です。