岩野裕之を待ち伏せしていたカコ。さながら、「捕食者」のように裕之を付け狙うカコは余裕の微笑みで、彼をもてあそびます。
その裏で、「自称彼女」な藤森麻希が「元カノ」の冨山葵に突撃。
その会話から真面目な教師である現在では考えられない「ヒモ」だった裕之の姿が浮かび上がり、「見たくない過去」も思い出し始めます。
作品名:「監禁嬢」(かんきんじょう)
作者:河野那歩也
「監禁嬢」第二十三話「糸車」あらすじとネタバレ
見たくない自分の過去
突如現れたカコに対して、我慢しきれずに不満をぶちまける裕之。
果たしてカコは、ヒントを与えるためにやってきたのか、それとも彼の様子を見に来ただけなのか。
「自称彼女」と「元カノ」の対決も裏で進行しており、目が離せないお話です。
写真の女性たちと会い、彼女たちの目から客観的に自分を見つめ始めた裕之。
それらはすべて「見たくない過去の自分」につながっているように思われた。
麻希は冨山葵に声をかけて、近くの喫茶店で裕之の彼女だと自己紹介した。
葵はバッサリと、麻希のことを「自称彼女」と見抜いて切り捨てた。
大学4年につきあい始め、卒業して一緒に東京に出てきたころ。
小説家志望だった裕之を、葵がバイトしながら養っていた、というのだった。
自分が無理やりバイトを辞めさせて彼を「ヒモ」にしたこと。
好きな人が好きなことだけに集中できるように「やってあげている」自分が好きだったこと。
全部裏目にでて、結局別れてしまったことも。
「監禁嬢」第二十三話の感想
裕之は、じつはヒモだった!? という過去が暴露された今回。
自堕落でヒモになったわけではなく、元カノの葵が「尽くしたい女」で好きな人の夢を応援したいからバイトをやめさせたという経緯のようですが・・・。
大学時代は「小説家志望」で作家を目指していた裕之は、葵と「ド修羅場」のあと別れている描写がありました。
「見たくない過去の自分を、思い出し始めてるんじゃないんですかぁ?」
とむきだしの歯を見せて笑う、黒目の妖怪フェイスモードのカコの顔が、過去最高の怖さでした。
だって、黒目がもう人間じゃないっていうか、深海魚みたいな不気味さで・・・全話通してこの顔が一番怖いと思います。
カコは自分を思い出させたい、というよりもひょっとして、裕之に「過去の裕之自身」を思い出させたいのかなあ、と今回思えました。
「小説家を目指していたころの裕之」にこだわりがあるような。
あと、地味に頑張っていた麻希は、別れ際に「私と同じダメ女のニオイがする」と葵に思われていました(笑)
カコ、麻希、葵、美沙子。裕之は、ダメ女を引きつける磁力でもあるのでしょうか。
カコに振り回されてばかりの裕之なので、そろそろ劇的な話の進展がほしいですねー。