裕之から「田原成美」に探りを入れるように頼まれた藤森麻希。麻希にとって成美はじつは、特別な存在でした。
第20話「針の筵」では、麻希が岩野裕之に固執する理由、そして麻希自身が心の中に抱えている闇が暴かれるお話です。
作品名:「監禁嬢」(かんきんじょう)
作者:河野那歩也
「監禁嬢」第二十話「針の筵」あらすじとネタバレ
麻希を悩ませる心の闇と針
ノーテンキそうな麻希ちゃんには、意外な心の闇がすくっていました。
家では「普通のいい子」にしている藤森麻希が、母親からの重圧で精神になにか問題を抱えている様子。
先生に本気になる!?麻希自身にもわからない気持ちがあきらかになる展開です。
麻希の母親は常に「一番になること」を求めており、しょっちゅう父親と口論していた。
夫婦喧嘩から逃れるために、部屋にこもって音楽を聞いて眠ろうとする麻希。
だがいつも「アレ」がやってくる。
ベッドの周りを囲む「針の筵」がやってきて、ベッドからはみだしたら命はない。だから動かないでやり過ごすことしかできない。
麻希はずっと、この幻影に苦しめられていた。
初めは先生のことなんか、好きでもなんでもなかった。
きっかけは、「田原成美」が岩野裕之のことを好きだったから。
成績が良くて運動神経抜群で、頭が空っぽで悩みなんかない成美。
自分が抱えているドロドロとした暗い闇なんか想像もできないほどに、のんきに生きる中身カラッポ人間。
それが、麻希が裕之に執着する理由だった。
「監禁嬢」第二十話の感想
今回は久々に麻希のターン!な回でしたが、麻希にもいろいろと複雑な事情がありました。
教育ママすぎる母親からの重圧と、母に対抗できない弱い父親。
両親から圧迫を受けて「お母さんは麻希が一番になるまで褒めてくれない」という精神の歪みが、麻希の恐怖を引き起こしていました。
普段能天気そうに見えた麻希が、夜に地獄の責め苦にも似た針の山に囲まれる幻影に悩まされていたとは・・・人は見た目ではわからないものです。
学生の頃って変な「マイルール」を作り出すことってありますよね。
たとえば白線の上を歩いてはみ出したらダメ、とか。
麻希も同様で、「ベッドからはみだしたらサドンデス」というルールを決めて辛い夜を過ごします。
クラスメイトの成美は、そんな麻希にとってずっと気になる存在だったようで、苦労知らずの優等生である成美に嫉妬していたようです。
麻希は「成美が好きな先生を奪えば、自分が彼女の上に立てる」という謎ルールを設定し、裕之を手に入れたのでした。
でも、裕之への麻希の気持ちは、最初とだいぶ変わってしまっていました。本来であれば裕之をあっさり見捨てるはずだったのに、麻希は裕之を捨てられなかったのです。本当に恋してしまったのかも・・・♡
今回のお話を読んで、麻希のことがすごく好きになりました。
怪しいのはカコみたいな見た目になった柴田茜で、なにやら企んでいる様子がわかります。次回どうなっちゃうのかなー