河東ますみ先生の全3編の傑作選! 漫画「自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか」は、あぜんとする行為を平気でやってのける常識はずれの女たちを描いた作品です。
ラストはどれも身勝手さとわがままの代償を支払う、という結末でかなりスッキリするお話。
表題作では、子供がいるんだからしょうがないでしょ!と赤ちゃんがいることを免罪符に、電車内でベビーカー占拠して大顰蹙の嵐に。
ベビーカーさえあればどこに行っても優先してもらえる、とやみつきになったヒロインがとった「信じられない行動」が見どころです。
「自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか」のあらすじ
ママ友たちと3人で我が物顔でギャハハ、と笑いながらベビーカーを横並びで通行人をそこのけ、そこのけ、と歩く主婦・希美。
激混みの電車内でももちろん周囲にはお構いなしで、ベビーカーは折りたたまずスペースを占領。
子連れなんだから、優先してもらえるのは当たり前。
そんな「特別感」が快感になってしまった希美は・・・
5歳になっても息子をベビーカーに乗せる母親
優先されるためならなんでもする希美
息子が5歳になり「赤ちゃん」という年齢を脱しても、特別扱いしてもらえるベビーカーを手放せない希美は、体が大きくなった息子を無理やりベビーカーに乗せて出歩いていた。
通りすがりのおばさんに注意されても「うざい」だけ。
ある日、電車で車椅子の老人が優先されて乗車している姿を見て、「いいこと」を思いつく。
成長してきた息子をベビーカーに乗せるのが限界になり、なんとしても優遇されたい希美は、ベビーカーの代わりに・・・
「自分勝手な女たち このベビーカー見えませんか」の感想
電車混雑時のベビーカー問題というのは、たまニュースにも出てきます。
少子高齢化で最近は赤ちゃん連れのママさんはそう多く見かけませんが、誰しも結婚して子供を産んだなら自分も同じ立場になるのだから・・・と思います。
この漫画のヒロイン・希美は「子連れママの特権!」に目覚めてしまい、その象徴である「ベビーカー」に執着することになってしまいました。
ベビーカーさえ引いていれば、周囲のひとたちは自然によけてくれて、電車に乗るときも大きなスペースで楽ちんだし優先してもらえるという特殊な特権意識をもってしまったのです。
親切にしてもらえることが当たり前になってしまうと、本来「善意」で行われてきたことが不自然な流れで「わたしたちの当然の権利」と思い込んでしまった点が、このヒロインの常識はずれの行動につながってしまったのではないでしょうか。
希美はラストでトンデモ行動の末に天誅を受けましたが、いろいろ考えさせられますね。
ベビーカーでママ友たちと横並びで歩かない、人の足を引いてしまわないように気をつける、電車ではベビーカーを折りたたむ。
ちょっとしたことに気をつけるだけで、みんなが気持ちよく暮らせますから、マナーを守りたいものです。
他、2編。「私の人生保証して?」「泣いて奪っちゃいけないの?」
なお、この作品には「私の人生保証して?」「泣いて奪っちゃいけないの?」の2編も収録されています。
親友ヅラして、平気な顔で何度も保証人になってほしいと頼んでくる友達。
泣いて騒げばなんでも許してもらえると思っている、イタイ女。
よくもまあ、こんなトンデモ女のストーリーが出てくるなと感心するほどに、モンスターな女たちが出てきます。
読んでいる最中はイライラしてきますが、結末でトンデモ女がとっちめられてスッキリするのでおすすめです。
「自分勝手な女たち」シリーズ最新作!
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