三田紀房作の投資漫画「インベスターZ」が、とうとう21巻で最終回となりました。
藤田慎司との道塾投資部存続をかけたチキンレースの勝敗のゆくえ、キャプテン神代の選択、そして財前の成長などが駆け足で描かれているフィナーレです。
ネタバレ感想となりますので、未読の方はご注意ください。
慎司とのチキンレース、勝利は財前の手に!
慎司はもういいよ・・・とちょっと飽きてきたチキンレース編。
財前は星占いの運勢最悪で不利な状況の中、「どこまでも思い切り突っ込む」作戦でイケイケドンドンな度胸を見せつけ、最後の最後で僅差で勝利をつかみました。
財前の勝負強さを見て、藤田のおじいちゃんが「やはりあの子は投資の申し子だ」と評します。
リスクを取れないものには、リターンもない、と。
130年に渡る道塾投資部は、財前のおかげで守られて今後も存続できることに。
勝利した財前は、慎司と握手し、「負けたら慎司は東大へ行くこと」という条件を取り下げます。
ふたりの勝負は(話をひっぱりすぎて)どうでも良かったのですが、藤田おじいちゃんが最後に語った「大人が子供のために多大な投資を行うことは当然」という考え方がとても素敵でした。
10年に一度の天才・神代主将の選んだ道
投資部の主将である神代の進路が道塾で話題となり、財前は「まわりがびっくり仰天するような道に進むのでは」と考えます。
ところが、神代が選んだのは意外と平凡な進路でした。
とりあえず東大理Ⅲに入りながら家庭教師をして金を稼いで、海外のオックスフォード大学へ進むというもの。
神代の能力をもってすれば、投資で一気に数億円稼ぐことも可能であろうになぜか「家庭教師で留学費用を稼ぐ」という堅実すぎる計画だったのです。
もちろん、神代は無難な道を選んだわけではなく、彼なりの理念があっての行動でした。
自国で最も問題となっている課題を自分の代で解決するために海外で学び、日本へ帰ってくる。
原発の廃炉を実現させる、という大きな目標のために着実な進路を選んだ神代に財前は胸打たれます。
さくらちゃんがかわいく大変身!インベスターPチーム
インベスターPチームはと言うと、投資の成績は小さくコツコツ、という方針が効いてまずまずの良い成績を残しました。
驚きだったのが、あの地味でもっさりしたメガネっ娘だったさくらちゃんが、一気にイメチェンしたこと。
髪を今風に切り、コンタクトにしてまるで別人のようにキレイになってしまいます。
「投資をしたことで自分を好きになった。生き方が変わった!」
インベスターP3人組で「投資」の世界に入ったことで、今まで地味で消極的だった自分が自信をもてるようになり、明るく綺麗になれた、というのです。
「投資は女性を明るくするのね」という美雪の言葉。
インベスターPチームのリーダーとして、投資結果で責任を果たしたものの、急成長していく財前に「負けたくない!」と闘志を燃やす。
そして、以前財前に馬鹿にされたブランドの時計をそっとしまいこむ美雪。
天才とは何か。そして世代交代
ゼンさんに投資部の運用結果を報告する渡辺は、神代のつぎを担う天才になるであろう財前について話し合います。
「1万人のうち、一人しかやり続ける人間はいない」
天才、というのは結果を出し続けることでそう呼ばれる。
だからこそ、思いついたことを実行し、行動し続けられる人間こそが天才と呼ばれるんだ、と納得し合う。
道塾に新入生が入ってくる時期となり、財前は1年前の自分を思い出しながら、なんとか首席をとった中島を投資部へ連れてこようと頭をひねります。
独創的?な財前のやり方が面白かったです。
インベスターZを全巻通して読んだ感想
新刊が出るたびに読んできたインベスターZが、21巻で最終巻。
「これで本当に終わり!?」というほど、あっけなく終わってしまったなあ、というのが正直な感想。
個人的に、藤田慎司とのチキンレース編は蛇足だったんじゃないのかと感じました。
ラスト数巻使って慎司との戦いを出すよりも、インベスターPチームのことや財前の先祖の龍五郎との絡み、あるいは藤田美雪との因縁話のほうが見たかったなー。
インベスターZはお金に対する考え方や人としての成長などが描かれており、読んでみるたびに自分もいろいろ考えさせられるきっかけをもらいました。
実際、読んでたら株に興味がわいてきて、株デビューしてしまいました(笑)
成績は儲かっている銘柄もあれば、損した銘柄もあり、というところですが、四季報などで企業のデータを読むのが楽しくてインベスターZは無理でもインベスターPにならなれるかなあ、なんて。
インベスターPチームがすごく好きなので、スピンオフ的にまた連載してほしいです。これで終わりなんてもったいなさすぎます。
さくらちゃんもキレイで大人っぽくなってましたし、いいですよね〜。
インベスターZを最初から読み直して見ると、随所にメモに書き留めて置きたくなるような名言がちらほら出てきます。
「たかが金」というセリフだったり、「ルールを知らないやつはカモになる」「金を掘ったやつに金持ちはいない!」とグサッと来る言葉だったり。
投資や貯蓄は、スタートが早ければ早いほど爆発的に増えていきますから、子供たちがこの漫画を読んで投資に興味をもつことはとても良いことです。
ホント、もっと連載がつづいてほしかったな・・・