DV夫から逃れ、息子と一緒に生きる場所を求めたシングルマザーが、いつしか息子が足手まといになり・・・
短編漫画集「母になれない女たち~後悔しないための選択~」は、生活苦で自分を見失って大事な息子をネグレクトしてしまう母を描いた作品です。
こちらでは第一話の「すがりつく瞳〜何を求め何を失おうとしたのか(ゆうみ・えこ)」のあらすじと感想をご案内します。
「母になれない女たち~後悔しないための選択~」第一話のあらすじ
23歳の北川昌子は夫のDVに耐えきれずに離婚して幼い息子・将太と一緒に逃げ出し、着の身着のままネットカフェに寝泊まりする生活をしていた。
所持金も尽きかけ、ネットカフェにすらいられなくなり「シングルマザー歓迎」とあった求人に一縷の望みをかけて面接に行った。
そこは寮・託児所付きのキャバクラだったが、地味でみすぼらしい昌子は鼻で笑われてホステスにはなれず、掃除係として雇われる。
店のナンバーワンホステス・レイラは輝くような美女で、二人の子供たちを抱えながらゴージャスな服をまとい、客からも人気。
それにくらべて昌子は汚いゴミや客のゲロ処理といった、裏方の嫌な仕事ばかり。
いつか「あちら側」の人間になってやる・・・
強い決心をした昌子だったが、金を稼ごうとすればするほど、足手まといの息子がうとましくなってくる。
「母になれない女たち」の感想
どこにも雇ってもらえない、金欠のシングルマザーが「おいしい広告」に釣られていった先で、「じつは話が違う」というのもよくある話です。
寮や託児所つき、と聞けば「それなら働ける」と思いますけれども、しっかり給料から引かれて手元に残るのは雀の涙、ではやってられません。
この漫画の主人公は、本当はいいお母さんだったはずなのに、仕事で一生懸命稼ごう、出世しようと頑張ろうとすればするほど息子の存在がうっとうしく感じていくという悲劇でした。
トイレにもひとりで行けないくらい幼い子供だとしたら、部屋に一日中ひとりきりで閉じ込めたら、どうなるかわかりますよね・・・
なお、この作品は短編集になっており、産婦人科で働く姉の部屋に転がり込んだ派手な妹のとんでもない秘密を描く2話目「つぐない~姉として…人としての決断~(ヨシダ有希)」。
アラサー子持ちの未亡人が恋をして息子が邪魔になる3話目「もう耳はふさがない~ただ幸せになりたかった~(川菜亜子)」が収録されています。
いずれのお話も「母親失格」というテーマのもとに、重い内容になっています。
親になるということの大変さと、責任、そして後悔など、さまざまな気持ちがあふれでる作品でした。
キョーレツな「子連れ様」ママを描いた漫画