母親に虐待され「心に闇」を抱えた瑠衣の子供時代を、秋山が明かす衝撃の展開!
「ギルティ〜鳴かぬ蛍が身を焦がす〜」24巻では、今までずっと謎だった瑠衣と秋山の過去と、瑠衣の心の中にある深い憎しみのワケ、そしてその魔の手が再び爽に忍び寄るまでが描かれています。
瑠衣の過去を知ったとき、爽はどう思ったのか・・・
ギルティ〜鳴かぬ蛍が身を焦がす〜24巻ネタバレ 丘上あい
説明責任を果たす秋山と、瑠衣との関係
秋山は瑠衣の「義理の兄」。
父親の再婚により一緒に暮らし、秋山に依存するようになった瑠衣。
8歳だった彼女は、「親に虐待された子供」だった。
爽との交際中、口をきかなくなった瑠衣。
やがて両親の離婚、父も亡くなり二人暮らしになるが、秋山に「恋人」を求めた瑠衣から逃げるようにイタリアへ。
虐待児だった瑠衣と爽の思い
再婚時に「元旦那に虐待されていた」と嘘をつき、じつは自分が虐待していた継母。
瑠衣の暗く深い「憎しみ」は母親からはじまり、秋山に置き去りにされたことで「(母を)最高のお手本」として、生きてきた。
秋山の説明で「虐待されたかわいそうな子」だとしても、カズと浮気して爽を苦しめてもいいという理由になんかならない。
だから、「かわいそう」だなんて思わない、という爽。
白衣の瑠衣の「お仕事」は?
カズと爽が「別れて」喜ぶ瑠衣が、働いている職場。
何でも相談できる「先生」がいて、「白衣」を着てお仕事。
その職場に、「母親のお見舞いにきた爽」がいて・・・
「ギルティ〜鳴かぬ蛍が身を焦がす〜」24巻の見どころ
瑠衣の虐待された子供時代に対して、爽の「虐待されたかわいそうな子だから何しても許されるの?」という問題提起。
ここまで切り込むのか!とすごくドキドキした今回。
たいていの漫画って、ものすごく憎たらしいモラハラ男やどう見ても更生の余地がない悪人だろってひどいのが出てきても、
「じつはあの人には虐待された『つらすぎる過去』があって、だからこれまで主人公に対してひどい態度をとっていたとしても仕方ない」
というエピをはさむことで
「うわ〜そんな過去があったなんてかわいそう〜!よく考えたらすごくかわいそうな立場の人なんだから、報われてほしいよね〜」
と、これまで到底許せそうもなかったモラハラ・残酷行為をスルーして「なかったこと」にされ、ほんの少しばかり「ごめんね」的なしおらしい態度を見せるだけで贖罪が済んで、周囲から甘やかされるほどに応援されてしまいます。
こち亀の両さんの『不良が更生しただけで立派だと褒めるのはおかしいだろ』なアレです。
ぜんぜんジャンルが違いますが、以下の作品のレビューもご参照ください。
(元カレ慎二に許せないモラハラをされてきた凪。しかしかなりの読者が「ひどい親がいる慎二のかわいそうな過去」エピでほだされ『慎二は結構、憎めなくてかわいいじゃん!』と凪に対するモラハラが容認され、慎二派になっている)
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別れても追ってくるストーカー慎二
コナリミサト作 漫画「凪のお暇」の第4話〜6話のネタバレ感想です。 新生活に馴染んできた凪。が、元カレ・慎二が引っ越し先 ...
モラハラ男や悪女が、「辛くかわいそうな過去」によって「立派だ」と錯覚して持ち上げられ、主人公へのいじめがなかったことにされる多数派の感覚。
「それとコレとは別問題じゃん!」というツッコミをいれづらい雰囲気が形成されるこの世の中で。
ありきたりの展開じゃない、「ホント、そうだよね!」と心にズシンとくるリアルな人間を感じるストーリー。
丘上あい先生の、作品にかける本気度が伝わってきます。
24巻の結末と考察
瑠衣が虐待された子供だったんだろうなっていうのは、これまでのお話の中でにおわされていたので意外ではなかったのですが。
ゾクッとしたのが「私には最高のお手本がいる」と、虐待した毒母を憎みながらも見習い、裏と表の顔を使い分ける恐ろしい女に自ら変貌していった、ということ。
虐待されたことで、「あんな母親みたいにだけは絶対ならない」と前を向いて生きるのか、それとも「どんな手段を使っても絶対に自分の思い通りに生きる、母親の強さを真似る」と闇落ちしていくのか。
「闇落ち」のほうを選んだ瑠衣を、「かわいそうとなんか思わない」と否定しようとする爽ですけれども、理不尽だと思いつつも割り切れないのが人間です。
爽もまた「毒母に精神的虐待」を受け続けてきた人生を歩んでいて、だからこそ、理解したくなくても瑠衣の苦しみを感じてしまっているのではないでしょうか。
似たような環境にいた二人が、「まったくべつの道」を選んだというのも皮肉です。
爽は瑠衣とは逆に「母親みたくなりたくない」と思っていた人ですから。
瑠衣はまだ爽への復讐をたくらんでいる様子で、病院で爽の母親になにかしそうですよね・・・
次回のお話は、2月なので2/28予定になっています。
今から楽しみです!