丘上あい先生の新作漫画「ギルティ〜鳴かぬ蛍が身を焦がす〜」1巻のネタバレと考察です。
優しくハンサムな完璧夫・一真(カズ)と10年続いた結婚生活。「子供がほしい」という気持ちを隠していた爽(さやか)がとうとう彼に本音をぶつけるも、それは裏切りと絶望のはじまりだった・・・という展開です。
「ギルティ〜鳴かぬ蛍が身を焦がす〜」1巻のネタバレ
荻野 爽は女性ファッション誌で働く編集者で、夫は広告代理店勤務の共働き夫婦。
10年もたつ結婚生活の中、爽は夫に「子供がほしい」という思いを打ち明けられませんでした。
夫・一真はハンサムで、家事もしてくれていつも優しい。
ふたりはいまだにずっと恋人同士のよう。
たったひとつだけ引っかかるのは、一真が暗に『自分は子供がほしくない』というサインを発しつづけていたから。
爽は空気を読んでずっと、本音を話せないでいたのですが・・・
子供がいない共働きの夫婦
愚痴や悩みを全部打ち明けられる友人
何かが欠けて物足りない、という思いを抱えながら爽がその心の悩みを吐き出せる唯一の場所がバー「チートン」で知り合った年下の友人・瑠衣だった。
お互いにパートナーの愚痴を言い合い、爽にとって瑠衣は「癒し系」のかけがえのない友人。
誰にも言えない話を聞いてもらえる「ガールズトーク」で、爽はとても救われていた。
瑠衣に話を聞いてもらうと勇気が湧いてきて、一真に直接話しをしてくると思い立った爽。
自宅へ帰って夫を起こし「子供がほしいんです、私は」と単刀直入に、長年の気持ちを伝える。
だが、一真の返答は期待はずれのものだった。
爽は夫の心の中にいる『家族』に自分たちの子供がいないのだ、と知って愕然としていた。
「ギルティ〜鳴かぬ蛍が身を焦がす〜」1巻の見どころ
丘上あい先生の人気作「赤ちゃんのホスト」のほのぼの路線からガラッと雰囲気が変わり、愛と裏切り、嘘が渦巻くラブサスペンス。
優しくて家事もしてくれる完璧な夫が、じつは何でも話せる友人だと思っていた瑠衣と浮気をしていたーーという、通常なら物語のラストで明かされるような衝撃の展開が第一話目からスタートする、というハイテンションっぷりが見どころ。
友人と夫による裏切り、というのはさほど目新しいテーマではないものの、登場人物全員が「なぜ」嘘をついているのか?
背景がわからないまま話が進むので、自然と読者はミステリーを読んでいるかのように隠された事実が気になって惹きつけられます。
1巻の結末と考察
恋人同士のような夫婦でいたいから、子供はいらないという夫。
仕事も一段落ついて、35歳という出産ギリギリの年齢でそろそろ自分たちにも子供がほしい、と思っていた爽の気持ちは無残にも踏みにじられてしまいました。
爽が『自分の親を見ていたから、結婚に希望とか全然なかった』と言っていたことから、爽は愛のある家庭で育っていないことがわかります。
夫婦関係がうまくいっていない親のもとで子供時代を過ごした爽は、大人になって自分が理想とする愛のある家庭を築こうとしていたのでしょう。
家族には「子供」が必要だと考える爽と、「子供は必要ない」という一真との考え方の違いに、結婚10年目にして初めて思い知らされる、というキツさ。
つらい気持ちでバーに戻って瑠衣に慰められたはずが・・・瑠衣が言うところの「クズニート彼氏」がじつは一真だった、という地獄展開。
ちなみに瑠衣は、爽と会うときは地味な真面目メガネ娘な容姿で、一真と会うときは妖艶な女に変身しています。
読者目線では一真と瑠衣の裏切りがはっきりわかっていますが、爽はまだ彼らの裏切りに気づいていません。
ここでわいてくる疑問は『なぜ、瑠衣は一真の妻だとわかっていて爽に近づいてきたのか』という点。
どんな魂胆があるのか、瑠衣の気持ちや過去の描写が一切出てないのでこの先の話で明かされるはずです。つづく。