どこにでもいる気弱な中年から、筋骨たくましい復讐鬼に変身した鉄男が、やっと娘の復讐を遂げる第4巻最終話です。
ナツミを拉致し、首謀者であり事件の元凶でもあるケイタをおびき出した鉄男は、ルール無用の肉弾戦で最後の戦いに決着をつけます。
決着の行方、そして「どこにも居場所がない」と言っていたナツミが見つけた「居場所」とは?
「ジェノサイダー」第4巻最終話「小さな希望」あらすじとネタバレ
鉄男とケイタの血まみれの戦い
アツシが約束どおりにケイタを連れてやってきて、鉄男はケイタを部屋の中に引きずり込み、「ケイタァァァ!」と恨みをこめて力の限り踏みつける。
「会いたかったぞ!ケイタ!ぐあああっ」
もはや理性がすべて吹き飛んだ鉄男は、復讐を果たすことしか頭になく、確実にケイタをやるために割った花瓶でとどめを刺しにきた。
やられる!と恐怖でいっぱいのケイタは、もってきた銃をうち、鉄男の足を傷つけた。
争いを止めようとするナツミ
ナツミは必死になって、「ケイタ!やめて!」と身をていして鉄男をかばったが、それを見たアツシがナツミをかばい撃たれてしまう。
「お願い!こんなのいや!」と必死で懇願するが、ケイタは向かってくる鉄男を撃つしなかなく、ふたりは相打ちになる。
喉がパックリと裂かれたケイタは倒れ込み、すでに致命傷と思えたがいきりたつ鉄男は攻撃の手を止めなかった。
容赦なく尖ったガラスでケイタを何度も打ち付け、とうとう動かなくなった。
ナツミに逃げるように言う鉄男
復讐をやりとげた鉄男もまた、胸の傷を受けて倒れ、ナツミを解放して「君はここから出ていきなさい。罪をつぐない、新しい人生を歩むんだ」と逃がそうとする。
ナツミはとりあえず、アツシを外へ連れ出し「全部忘れて、私のことも今までのことも」と耳打ちしてさよならを告げる。
だが、ナツミは結局鉄男のところに戻り、「私に生きろって言ってくれたのは鉄男さんだけよ」と手をにぎる。
鉄男の言葉でナツミは、生まれてから初めて「居場所」が与えられたような気がした。
「ジェノサイダー」の結末
すべてが終わったあと、警察が現場検証をしていたが、そこに鉄男とナツミの姿はなかった。
傷ついた鉄男を支え、闇の中を逃げるふたり。
ナツミは鉄男の罪を、許さない。
そしてナツミの罪もまた、許されてはならない。
罪を抱えたふたりは、人目を忍びながらどこかでふたりで生きようと歩きだした。
※ラストページで各人物の結末、そしてナツミを追う「新たな復讐者」の存在が匂わされています。
さらに物語が深みを増すので、あなた自身で読んでみてくださいね!
「ジェノサイダー」第4巻最終話「小さな希望」の感想
やっと復讐を果たした鉄男でしたが、ナツミが言ったとおりに憎い人間をやっつけても満たされることはありませんでした。
ナツミが利香の拉致に関わっておらず、仕方なかったとはいえ深く彼女の心を傷つけたと知った鉄男はラストでナツミに許しを請いますが、「私も、あなたも許されてはいけない」というナツミの言葉で、一生罪を背負って生きつづける覚悟をします。
作画崩壊している、というレビューもあったので心配していましたが、鉄男が北斗の拳ちゃんみたいに筋肉モリモリの別人になった点と、ナツミの初期のあのみずみずしい美少女っぷりが少し手抜きになったカナー、以外はさほど気になりませんでした。
むしろ、どうしようもないケイタが人間らしく見えてきたり、ナツミがなぜあれほど虚無感を抱いて生きていたのか、その理由のすべてが判明してスッキリでした。
最後の最後までしっかりと、脇役についても丁寧に「その後」が描かれていたので、思っていたよりも読み応えがあって良かったです。
鉄男とナツミに残された小さな希望・・・けれど新たな復讐者・「ジェノサイダー」復活の気配もあり、単純にハッピーエンドでもなくゾクリとする終わり方でした。
妖艶な天才美女ハッカーと中年刑事が事件に挑む!