モテる気がなくても勝手にモテてしまうイケメン王子が好きになったのは、「底辺」のカテゴリーにいれていたはずの冴えない女の子だった――
川端志季先生の漫画「僕のオリオン」は、性格の悪い自分が嫌いな学校の王子・大月冴門と地味女子・亀平小絃の恋、そして小絃の人生を縛りつけようとする謎のストーカー的人物によるミステリー要素が絡まった物語です。
こちらでは1巻のあらすじと感想をご案内します。
「僕のオリオン」1巻のネタバレ
黙っていても女子からモテモテな「王子様」の大月冴門は、その外見とは裏腹に周囲の顔色をうかがう小心さがあり、そんな薄っぺらい中身からっぽな自分のことが嫌いだった。
表面上だけはみんなが望む自分を演じて平穏な日々をキープしていたが、ある日どしゃ降りの雨の中、傘を貸してくれた地味な後輩・亀平小絃と出会う。
メガネチビでおどおどとキョどる小絃は、見るからにカースト「底辺」だった。
花屋で働く彼女の笑顔に、不思議なくらい惹かれるものを感じる冴門。
誤解によってクラスメートからハブられた冴門は、変わらず接してくれた小絃から「日記」をプレゼントされ・・・
『宇宙を駆けるよだか』の火賀くんが教師役として登場!
ブスと美人の入れ替わり漫画『宇宙を駆けるよだか』は、川端志季先生の前作にあたる作品です。
今回のお話につながりがあるとは思っていなかったので、作中で火賀くんが教師役として出てきて超ビックリ!
立ち位置としては「小絃の過去のいざこざを知る親戚のおじさん」なんですけれども、相変わらずかっこいい〜!!
心に問題を抱えている小絃をやさしく見守っていて、小絃がなぜ冴門の「友達」にすらなってくれないのかという理由を教えるために「ストーキング許可」まで出してしまう過保護っぷり(笑)
「よだか」とストーリー上は直接のつながりはありませんが、舞台は「赤月町」ってことなのかな。
そうすると、今後不思議現象が出てくる展開もアリでしょう。あゆみと公史郎、然子のその後もチラッと出てきたら嬉しいですよね。
小絃を縛りつけようとする闇の存在。謎の引きこもり男
自分に自信をくれた小絃に、あっさりフォーリンラブする冴門なんですけれども、小絃は頑ななくらいに「先輩のファンでいたい」と断り続けて、なんでなのかな?と思っていました。
「友達になって」と決死の覚悟で頼んだ冴門をふって???友達すらダメ?、と「遠くから見守るファンのひとり」でいたいという小絃がわからかなかった。
読み進めるとわかりますが、小絃には「心の傷になったある出来事」と、「唯一の友達」の存在が浮かび上がってきます。
お花の配達で寄る家の、二階の窓から覗く不気味な影・・・小絃が「友達づくり」を怖がる理由がそこにあります。
「僕のオリオン」の感想
こじらせ男子、と言うのでしょうか。
冴門くんは「自分は中身のない薄っぺらい人間」だというコンプレックスがありながらも、自分の外側だけしか見ない周囲の人間に対して心を開けず「王子」の仮面で居場所をつくろうとしていました。
はたから見れば、性格悪いのに女子からキャーキャーモテるいけ好かない男、なんですが「冴門のファン」だという小絃の目を通して自分自身を見たことで自信を取り戻すんですね。
自分というものは、どう頑張っても客観的に見ることは難しいですし、第三者の目から見た自身への評価というものは信憑性があるものです。
で。
小絃のおかげで少しずつ、まわりに対してつくっていた壁がなくなっていくんですが、妙に強引に「先輩の彼女にして!」とせまってくる帰国子女の中澤さんだったり、「友達じゃない」と言われてもずっと一緒にいてくれる東雲くんもいて、いつの間にか「仲間」が増えていきます。
小絃以外はいらん!という冴門くんですけれども、案外楽しそうな顔になっていますよね〜。
火賀くんも、今回は脇役としていい味をだしています。
「宇宙を駆けるよだか」では、大人気だったキャラクターですから、再登場で「Σ(゚∀゚ノ)ノキャー」と大喜びしたファンもいるのではないでしょうか。
「猫俣」の存在はすごく不気味で、いかにも引きこもり男(一人称「僕」なので)の雰囲気で小絃のストーカー。
小絃を自分だけに縛りつけようと今まで画策してきて、そのせいで小絃は苦しんでいる、というのが見てとれます。
冴門くんが小絃のことを本気で好きになったことで必然的に「猫俣」との対立も予想されますが、見た目はともかく中身がヘタレ系キャラなので、小絃を闇の中から引っ張り出す力強さがほしいですね。
冴門くんが「中身空っぽ」な自分から脱却して、危ない男から小絃を守ることができるのか。
2巻目以降も楽しみです!
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