謎のモンスターが学校の前に発生! 生き延びるために「一日ひとり、誰かをエサに」・・・結局、命の価値は「スクールカースト」で決まる!?
若杉 公徳先生の漫画「明日のエサ キミだから」は、ちょっぴりシュールな学園サバイバル。
カースト最下位の宗太は「エサ」に日々指名されながらも、なんとか生き延びるギャグテイストありなホラーです。
「明日のエサ キミだから」のあらすじ・ネタバレ
人を喰う化物が校庭に出現し、ネットも電話もつながらない孤立状態の中、60日間の籠城生活ですでに「7人」にまで減ったクラスメイト。
「毎日ひとりのイケニエ」を出してモンスターをなんとかなだめ、救助がやってくるのを待つ日々。
「エサ」になる人間は、カースト上位の3名が決定し、とうとうカースト下位の宗太と満宏が選ばれてしまった。
ふたりはカースト最下位ながらも協力して、みんなの召使いとして身の回りを世話してきたことでなんとか生き延びてきた。
「雑用はもういらない」
という委員長・酒井の一言によって、明日どちらかが「エサ」になることが決まるふたり。
あきらめムードのふたりだったが、女子の山吹に叱咤されたことでふたりで一緒に化け物と戦うことに挑戦する。
しかし、土壇場で満宏が宗太を裏切り、自分だけ生き延びようとして・・・
どこかちょっぴりズレているギャグ系ホラー
『デトロイト・メタル・シティ』がゲラゲラ笑うくらい面白かったんですけれども、少し根岸くんチックな主人公・笹塚宗太が、気弱でお人好し、割を食わされるカースト最下位ながらも、「偶然すぎる運の良さ」に支えられつつ生き延びてしまう雰囲気がすでにギャグ。
モンスター自体はいかにもな「寄生獣」っぽいよくわからない生命体なんですが、この漫画のメインはモンスターじゃなくて「スクールカースト」そのもの。
自分だけは生き残りたい、他人を犠牲にしても自分は助かりたい、
そのためには「生きる価値のない人間」から犠牲にすればいい。
そんな殺伐とした空気の中で「人間の価値のランク付け」によってサバイバルできる確率が違います。
カースト最下位で「天国に一番近い」宗太が、いつもなぜか生き残ってしまう(その都度笑いを含む)運の良さ、ホラーになりきれないギャグ的空気が楽しめる作品です。
「明日のエサ キミだから」の感想
若杉 公徳先生の漫画って、女子がめちゃくちゃ強い!のもいいですね〜。山吹さん、かっこいい。
女子にボコボコにされ、情けない様子を見せながらも、しぶとく生き延びる宗太はとても応援したくなるキャラです。
裏切った満宏の残された手を山吹さんにタッチで供養って、ちょっとーwww、と笑えました。
パシリ同士で友情を深めあっていた宗太と満宏だったのに、満宏があっさり裏切っちゃうあたりの友情の浅さを描くシュールさ。
(だからこその『カースト底辺』なのか)
「必要のない人間」を勝手に決めて、のうのうとしているカースト上位が腹立つけれども、実際にこういう状況になったら十分ありえるお話ですよね。
人間って、「社会的動物」なわけで、だからこそカースト内で自分の命を差し出させるようなこともできてしまうから。
モンスターよりも、怖いのは人間。
相互扶助的に助け合いならありがたいけれども、上位による下位からの搾取構造ができあがるとカースト最下位にとっては地獄です。
その地獄の中で、常に命の危険にさらされる宗太がどのようにサバイバルし、さらに笑わせて(笑)くれるのか。
『デトロイト・メタル・シティ』のノリが好きなひと、パニックホラー系が好きなひとにおすすめしたいお話です。
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