『綺麗なものに世界は優しい』
――「みにくいアヒルの子」のように、幼い頃から「ブス」だといじめられ続けてきた駒井芹が「美しさ」を手に入れたら・・・?
タナカトモ先生の漫画「君は綺麗なアヒルの子」は、コンプレックスまみれのブス女に近づき、魔女のように「美人になる?」と提案してきた美女の謎の思惑がうごめくサスペンスです。
こちらでは1巻のあらすじと感想をご案内します。
「君は綺麗なアヒルの子」のあらすじ
駒井芹の体型は、大根足に寸胴のずんぐりむっくり。顔はお察しのメガネブスで、幼いころからいじめられ、親さえも「醜い」とネグレクトを受けて育った。
大学生になっても、周囲の評価は同じ。バイトですら「ブス」という理由で受からない。
大学で「ミス・キャンパス」候補と噂される美女・甘城誘花が突然声をかけてきて、芹を見た目で差別せず、その人懐こさで友達になる。
ある日、警察から両親の訃報が入り、芹は多額の保険金を受け取った。
気になる先輩・柳木との待ち合わせで、芹の目の前で先輩が誘花に告白めいた行動をとり、傷つく。
ひどいブスに世の中は厳しいと泣く芹に、誘花は待ち構えていたかのように美容整形で「美人」になれ、とすすめてきて・・・
美人とブスの扱いの差が厳しすぎる世の中
見た目のコンプレックスのせいで、引っ込み思案でコミュ障になってしまった芹。
そんな芹が遺産をつかって一念発起し、誘花に負けないほどの美人に大変身します。
『ブスに厳しい世の中』を実感するのは、どちらかといえば美人になったあとだったでしょう。
周りから「ダサッw」と嘲笑われていた服を、美女になった芹が着て歩くと「ラフで素敵」「美人だから着こなせる」という真逆の評価に変わるのですから・・・
美人になっただけで、気軽にみんなから声をかけてもらえるようになっても、複雑なものがありますよね。
あまりの周囲の扱いの落差に、ブスであればよりネガティブな性格に、美人であればより明るくポジティブな性格になりやすいのもしかたないです。
「君は綺麗なアヒルの子」の感想
ブスが整形をしたおかげで驚くほどの美人になってうまくいく、という単純な話ではなく、すべて「裏」があります。
芹は「キレイになりたい!」願望が強かったわけではなく、むしろ誘花に流されるようにして整形に至ります。
それもこれも「誘花の計画」のうちで、伏線があちこちにはられており、芹はまだ泳がされている状況。
芹の「一番の友達」の顔をしながら、誘花はちゃくちゃくと芹を地獄に突き落とす準備を進めている様子がうかがえます。
とはいっても、芹が直接なにかしたとはとても思えず(芹は天涯孤独のコミュ障)、虐待クズ親だった芹の両親に関わりがある可能性が高いです。
芹自身、ずっと親からネグレクトを受けていて愛情も感じられずにいたわけで、そんな状況でもし誘花の復讐が親由来のものであったら、親の因果が子に報いというのも理不尽な話です。
また、芹は「美しい顔」を手に入れたものの、それで「幸せ」になれるとは気楽に考えていなくて、偽りの人生を送っている自分は先輩から愛される資格はない・・・と思っているあたり不憫。
それに整形そのものも生やさしいものではなく、激痛に耐えて「美」を得たあとも、メンテナンスで痛い思いをしつづけなければならないという過酷な面もあります。
「人生のリセット」にはそれなりの代償がともなう、ということでしょうか。
芹が好きになった柳木先輩は、美人になった芹を見ても特別な反応をしなかったし、整形前のブスな芹でも普通に接していたので「見た目で左右されないひと」と感じました。
唯一「芹の内面」を好きになってくれそうな男性なので、芹の恋がうまくいけばいいのですが・・・2巻へつづく!